【コラム】平成16年7月福井豪雨 巨大な「足羽川 破堤復旧之碑」を訪問
2004年7月18日におきた「福井豪雨」は、福井県嶺北地方を中心に陣だな被害をもたらしました。九頭竜川水系で複数の堤防が決壊し、福井市や美山町(当時)に多数の浸水被害が起きました。死者4名、行方不明者1名、浸水建物1万4000棟、全壊住家が約70棟に及びました。
福井市中心街を流れる一級河川「足羽川」(あすわがわ)でも堤防が決壊。上流では、JR越美北線の鉄橋5本が流出するほどの被害を受けています。
足羽川上流には、流出した鉄橋を、2005年にモニュメントにして設置・保存しています。2016年8月に訪問しました。
福井市内でも足羽川の堤防が広範囲(80m)にわたり破堤しました。その場所を示す立て看板があります。なお、足羽川における水害の歴史は、福井県のウェブサイトなどを参照ください。
2009年11月、足羽川の河川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)により、堤防復旧工事が竣工しました。
「破堤復旧之碑」は、これを記念して、破堤箇所に近い児童公園「春日公園」(春日1丁目)の入口に設置されたものです。かなり重厚感があり、非常に大きな直方体です。高さは台座を含めると、おおむね大人の背丈ほどになります。なぜこれほど巨大な石碑としたのでしょうか。その理由は碑文を最後まで読むとわかりました。
碑文には、以下の文言が刻まれています。
破堤した原因が詳細に記述されていることと、堤防の上ではなく、あえて住宅街の児童公園内に「当時の洪水高に合わせた碑を建立」しているなど、洪水被害の脅威を語り継ぐ強い思いをうかがう知ることができます。
平成十六年(二〇〇四年)七月十八日、足羽川流域は梅雨前線により明け方から昼前にかけて激しい豪雨に見舞われ、最大時間雨量は八十七mm、六時間雨量では二百二十八・九mmを観測し、福井豪雨と命名された。
足羽川の推定最大流量は流下能力を大きく上回る毎秒約二千四百㎥とされ、十三時半頃、春日一丁目において越水による洗掘と浸透による堤体の脆弱化などにより破堤した。
当時の福井市の浸水被害は甚大で、床上浸水二千五百十四世帯、床下浸水八千六百七十三世帯に及んだ。
県では、再度、同様な災害がおきないよう 足羽川河川激甚災害対策特別緊急事業を実施した。
事業完成の節目にあたり、被災から得られた教訓を風化させることなく後世に引き継ぐことを目的に、破堤した地に当時の洪水高に合わせた碑を建立する。
平成二十一年十一月 福井県知事