【コラム】福島第一原子力発電所 視察の機会を得ました
福島第一原子力発電所内の視察の機会を得ました。
敷地内の各施設(1号機~6号機、汚染水貯蔵タンク群、多核種除去設備、地下水揚水バイパス、津波の爪痕残る海側、事務棟、倒壊した鉄塔)を車で巡回視察し、免震重要棟の緊急対策本部室なども見せていただきました。
ある民間研究チームの視察として実現したものです。貴重な機会を還元すべく、いずれ成果をご報告できる機会があればと願います。
東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田最高責任者(元福島第二原子力発電所所長)、小野福島第一原子力発電所所長にもお時間を割いていただき、大変恐縮しました。日々最前線で危険な作業をされているすべての方に心より敬意を表します。
事故直後の背筋が寒くなるような原子炉建屋の映像を思い描いておりましたが、(予習したとはいえ)現在は建屋がカバーで覆われたり、がれきが取り除かれ棟が小さくなっていたり、「違い」や「進捗」を認識することになりました。また、1号機から4号機の現況と課題が、目で見たうえで整理できたことは収穫でした。ご説明やプレゼンテーションも大変分かり易かったです。
変化の一つとしては、福島第一原子力発電所の指揮命令系統の刷新です。インシデントコマンドシステム(ICS)の導入経緯と効果についてご説明いただきました。ここでは詳細については述べられませんが、現場ではかなり手ごたえを感じているようでした。
また、リスクコミュニケーションの重視、徹底した情報開示という点も強調されていました。東京電力は、昨年ソーシャル・コミュニケーション室(SC室)を立ち上げ、今年になってから社外の室長を招聘しております。ステークホルダーに対してわかりやすく技術的な面も含めてリスクを説明すること、そして正しい事実を共通認識とすることは、大変有益です。
福島第一原子力発電所敷地内にも、巨大津波や地震の爪痕は、至るところに残っています。
がれきが散乱した状態はすでにありませんが、壊れた防潮堤やあり得ないひしゃげ方をしている巨大タンク、外部電源喪失の原因となった鉄塔崩壊現場などを目の当たりにし、現状が、実は最悪の中にあった奇跡の結果であることを思い知らされます。
事実を客観的に認識し、現場の中長期の課題を共通認識とすることが重要であると考えさせられた視察となりました。
改めまして関係者の方々に御礼を申し上げます。ー
かつてはJヴィレッジにおいて入域のための装備装着などを実施していましたが、視察時点では福島第一原子力発電所の入り口のすぐ外に入退域管理施設ができており、入域直前に装備を整えます。今回の視察は、免震重要棟への入棟以外は、車上視察ということもあり、かなり軽装備での視察となりました。