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【コラム】(一橋大学政策フォーラム)「非常時における適切な対応を可能とする社会システムの在り方に関する社会科学的研究」シンポジウム/『非常時における行政対応 法学と経済学の共同の取り組みを通じて』

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2015年9月4日、ホテルメトロポリタン仙台にて「一橋大学政策フォーラム」が開催され、報告者・パネリストを務めました。参加者は訳190名、名取市長・副市長にもすべてのプログラムにご出席いただきました。また、一橋如水会の方のご協力も大きく改めて御礼を申し上げます。

日本学術振興会の「課題設定による先導的人文社会科学研究推進事業」が一橋大学の研究チームに委託されました。委託の条件の中に、実務者メンバーを入れて研究するとの点があったため、光栄にも末席を汚すこととなりました。今回のフォーラムは、2年間に及んだ研究成果を報告するものです。

この研究の特徴は、『経済学者』と『法学者』が互いの知見をもとに毎回講師の報告を受けて討論を実施するという点にあります。その中から、先導的な社会システムの在り方を発見することを目指しています。

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今回のフォーラムのプログラムは以下の通りです。研究メンバー以外では、石巻市の出向中の野村裕弁護士が加わってくださいました。


【総合司会・コーディネーター】
齊藤誠 一橋大学経済学研究科教授

【開会挨拶】
野田博 一橋大学法学研究科教授
【実務家から見た大震災時における行政対応の課題】
岡本岡本正総合法律事務所 弁護士
「災害対応と個人情報の利活用」
野村裕 石巻市役所総務部総務課法制企画官 弁護士
「石巻市における復興事業に携わって」
【研究者から見た大震災時における行政対応の課題】
薄井一成 一橋大学法学研究科准教授
「震災緩和と防災法制」
中川雅之 日本大学経済学部教授
「縮減都市の復興における建築制限」
佐藤主光 一橋大学経済学研究科教授
「災害時における自治体間協力」

 

いずれも挑戦的なテーマであり、非常に刺激的な議論が展開されました。

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私からは、震災前からかかわっている「個人情報」の利活用問題について、災害発生時や防災の場面でどのような政策判断をすべきか、政策立案をすべきかを東日本大震災の教訓や災害対策基本法改正経緯から述べました。

加えて、非常時法制の在り方一般論にも踏み込み、「『準備していないことはできない』という考えは、物資やインフラだけではなく、法律や制度の運用訓練にも当てはまる。いざという時の制度の適用不適用の判断を磨く思考訓練・リテラシー向上が必須である」「オールマイティに解決できる災害対策制度など作ることはできない。日々教訓を糧として、制度設計や法律改正、そして現場運用改善を続けることが、いざという時に命をつなげることになる」と、今までの研究チームでの討論を踏まえた私の見解を述べました。

報告の内容は追って一橋大学の広報の特集記事や、全国紙での特集記事になる予定です。また、今回登壇しなかった研究メンバーらも含み、有斐閣から研究成果をまとめた書籍が刊行される予定です。どうぞご期待ください。

(参考)日本学術振興会「課題設定による先導的尋問社会科学研究推進事業」[プロジェクト概要・メンバー] [プロジェクト概要・説明ポンチ絵]