【コラム】新潟県十日町市「平成23年7月新潟・福島豪雨」を伝える「七転び八起き」を訪ねて
2016年11月26日、震災関連のシンポジウムで講演のため新潟県十日町市を訪れた。
十日町市。豪雪地帯。織物のまち。大地の芸術祭。街のいたるところにオブジェが点在している。5千年以上前の地層から出土した国宝『火焔縄文土器』でも有名であり、博物館で実物を見ることができる。なお、博物館の展示はかなり作り込んであり迫力もある。縄文から近代までの十日町の歩みが大変よくわかり勉強になった。
「新潟・福島豪雨」とは、平成23年7月26日から30日にかけて、新潟県と福島県会津地方などで発生した集中豪雨を指す。十日町市でも観測史上最大級となる雨量を記録した。その結果、十日町の中心街を流れる「田川」と「晒川」(いずれも信濃川の支流)が氾濫し、家屋を多数流出させる被害が出た。災害救助法だけではなく、被災者生活再建支援法の適用がなされるほどの住家被害があった。その後大規模な河川復旧・防災工事や橋梁の架け替えなどが行われた。市内各地の復旧工事は5年間にわたり実施された。
2016年10月8日、十日町駅の東側の商店街を抜けてしばらく歩いたところにある、新しく架け替えられた「田川橋」に復興の象徴として、また災害を伝承するためのモニュメントが完成した。
大きな安山岩の記念碑の正面には
『七転び八起き』
という力強いメッセージ
そして裏面には碑文が刻まれている。
平成23年7月末 新潟福島豪雨により当地は
時間降水量120ミリを超える観測史上最大級の
集中豪雨に襲われました
晒川・田川の両河川の氾濫、田川の護岸の決壊、
橋梁の損壊、溢れる濁流により床上浸水や建物の
倒壊など、大きな被害を蒙り避難生活を余儀なく
されました
この豪雨災害の記憶と復興の軌跡を深く胸に刻み
さらに後世へしっかりと伝え遺すため記念碑を建立
いたしました
平成28年7月吉日
縄文時代の太古から、信濃川とともにあった十日町。
現代にあっても水の恐ろしさは忘れてはならないのだろう。