【コラム】日本災害復興学会大会「復興情報の展開」にコーディネーターとして参加しました
2013年10月12日から14日まで、日本災害復興学会の
大阪大会が関西大学(高槻ミューズキャンパス)で開催されました。
私は初日の分科会のシンポジウム
『復興情報』の展開
でコーディネーターを務めました。
パネリストは
藤沢烈さん(RCF復興支援チーム代表理事)
山本和広さん(岩手県大阪事務所・前総務部法務学事課)
磯辺康子さん(神戸新聞編集委員)
開沼博さん(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員)という、復興の最前線で活躍する方々です。
『復興情報』という言葉はこの分科会のための造語であり、
「災害情報」や「防災情報」というすでに発展している分野とは区別しています。
日々刻々と変化し、また場所や立場等でも変化する「復興」の場面における
「情報」をどう捉えるのか、という挑戦的なテーマです。
岩手県の山本さんからは、
災害直後の安否確認や災害時要援護者の把握の事例を紹介いただき、
個人情報保護条例の解釈・運用の実績と課題をご報告いただきました。
藤沢烈さんからは、
復興フェーズにおけるコーディネーター、復興支援員の重要性、
とくに、情報をいかにマッチングさせ、必要な人にピンポイントに情報を届けるのか、
という「情報を伝える技術」について語っていただきました。
福島大学の開沼さんからは、
「必要だと思われる情報」と「本当に必要な情報」の乖離を
具体的な事例をもとに説明いただきました。
このミスマッチを解消するための、
情報リテラシー向上、ファクト把握の重要性などをご指摘いただきました。
神戸新聞の礒辺さんからは、
地元新聞として、阪神・淡路大震災の復興の道程を正確な情報で語り継ぐ使命と、
それが東日本大震災からの復興に大きな示唆と希望を与えるだろうという話を頂きました。
会場からも積極的な発言があり、
情報は発信するだけではもちろんだめで、かつ伝えるだけでも浸透せず、
その情報を受け取る側のコミュニティが醸成されている必要がある、
という指摘もいただきました。
これらを踏まえ、これからの課題を、分科会コーディネーターとして発表。
簡単にまとめますと、
1 個人情報保護法制や災害対策基本法改正を踏まえた政策実務支援
2 きめ細やかな情報伝達の技術とプラクティスの集積
3 情報・報道のリテラシー向上とそのための教育の重要性
4 「復興情報」を語り、保存する場の必要性
などの課題が抽出されました。
学会の議論ですが、登壇者は全員実務レベルの活動をしているので、
非常に説得的でした。
学術的にも将来に残せる検討分野だと考えます。
以上、なかなか内容の難しい話もありますが、
学会らしくない学会の分科会の議論をご紹介させていただきました。