【コラム】宮古ひまわり基金法律事務所引継披露
岩手県宮古市の宮古ひまわり基金法律事務所の所長
小口幸人弁護士が、3年6月の任期を終えて東京に戻ってきます。
後任は宮古田老地区出身の吉水和也弁護士。
東京で2年半弁護士実務の実績があります。
今日は、その事務所所長引継式にお招きいただきました。
宮古市の名越副市長にも1年半ぶりにご挨拶出来ました。
◆吉水弁護士(中央)
◆小口弁護士(右)
◆当職(左)
小口弁護士は震災の1年前に宮古に赴任。
東日本大震災後、1週間もたたないうちに関係機関を回り、
ひとりで避難所の無料法律相談を始めました。
最初に訪れた避難所では満場の拍手で迎えられたそうです。
避難所で不安な生活を送り、
何が問題なのかも把握しきれないほどの被害の中で
『希望』になる情報を届けようとするその姿は、日本中の弁護士を動かした。
当時、内閣府に出向していた私も小口弁護士の活動に心を打たれた一人。
当時はろくに面識もない小口弁護士にいきなり電話。
被災地外の我々に何ができるか。
何をすれば助けになるか。
そのとき得た結論は、被災地で毎日繰り返される無料法律相談の内容を
わかりやすい形で発信すること。
それによって制度の改正や、新たな法律をつくる根拠とすること。
そのためには、すべての法律相談をデータ・ベース化して
客観的な資料(=法律制定の根拠になる立法事実)
にしなければならないということ。
震災1か月後には、すでに3000件以上の相談実績があったが、
その内容や規模、変化や被災地ごとの特徴なども分析されないまま積み上がっていた。
私は、紆余曲折の上で、4月から日弁連の災害対策本部で仕事を始める。
もちろんやることは小口弁護士の提案を実現すること。
多くの弁護士や事務方の協力を得て、無料法律相談データ・ベースの構築を始めた。
結果として1年間で4万件を超える震災無料法律相談が集積された。
※詳細はこちら「東日本大震災無料法律相談情報分析結果」(第5次分析)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/shinsai/proposal.html#bunseki
小口弁護士は、法律家が震災直後から、
支援情報をわかりやすく伝達することの重要性を身を以て実践してくれた。
被災者の声を集めることで大きな制度構築ができることを教えてくれた。
小口弁護士がいなければ、私が大学で災害復興政策の教鞭をとることはなかっただろうし
内閣府での政策関与経験を震災復興の制度構築に応用しようとは思わなかった。
頼もしい後任への引き継ぎを終え、
偉大な弁護士が、いよいよ東京に凱旋してくる。
様々な政策プロジェクトを一緒にやっていけたらと願っている。
◆宮古の浄土ヶ浜。白い海岸と美しい青い海です。