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【コラム】速水林業の森ー江戸より続く尾鷲檜の山ー

令和元年5月29日、三重県紀北町の「速水林業」にて、速水亨代表に本部事務所周辺の森(100ha)の一部をご案内いただきました。

 

 

林業経営の過去、現在、そして未来の話を、2時間の散策を通して伺うことができました。たいへん贅沢な時間でした。

 

速水林業は紀州藩海山町に1790年に創業し、尾鷲地域にて林業経営を開始しました。速水亨代表で9代目となります。「尾鷲檜」(おわせヒノキ)を主軸にし、現在では1000ha超の森林で経営を行っています。

 

経営の機械化、苗の低コスト化など新しい技術を導入・開発し、持続可能な環境経営を実践しています。世界的な森林認証である「FSC認証」を日本で最初に取得しました。

 

速水さんの森の特徴は、広葉樹を針葉樹である檜の間に残していることです。自然の混合林のようです。そのほうが土地や生態系が豊かになり、持続可能な森づくりとなるとのことでした。事実、動物や鳥の種類もほかの森に比べて大変多いということです。

 

地面に映えるシダ植物類が、まるでグリーンのレースのように、地面を覆っています。雨上がりの光につつまれた明るい森。この時期だけのスペシャルな光景です。グリーンの雲の上に檜が生えているような、不思議で美しい景色でした。

 

「百年後の森を見ることはできないが、百年後の森を想像することはできる。」

 

「イメージして、デザインして、実行してこそ百年の森林経営が可能となる。」

 

針葉樹の森でも、広葉樹以上に養分豊かな土を作れることを、実際に土を採取しながら見せていただきました。

 

檜の木の「皮」にも「年輪」が美しく現れることも教えていただきました(これは大変に美しい!)。

 

速水代表との最初のご縁は、2009年10月。私が内閣府に出向したときに、政府会議の委員をされていました。私は内閣府で事務局を担当しており、農林水産行政について学ばせていただきました。

 

当時から内閣府で速水林業を訪ねたいと企画がされていましたが、タイミングが合わずに実現しないまま、私自身も内閣府を任期満了で退職し、その後は東日本大震災に対応する原子力損害賠償紛争解決センターへ移ってしまいました。

 

このたび約十年越しに、速水林業訪問が叶いました。速水代表自らご案内いただけたことも大変光栄であり、贅沢な時間でした。心から御礼を申し上げます。

 

最後にアレンジしていただいた三重県「みえ森林・林業アカデミー」のご担当者の皆様に感謝を申し上げます。