活動実績

【講演】(避難所・避難生活学会)「医療・福祉・保健分野に関する災害復興法学教育のアプローチ」

第8回 避難所・避難生活学会学術集会

テーマ;社会は繰り返す災害に耐えられるか〜被災者を救う仕組みの社会実装を目指して〜

会期:令和4年12月10日(土)〜11日(日)

会場:国際医療福祉大学 東京赤坂キャンパス

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2022年12月1日 招待講演5-1

岡本正「医療・福祉・保健分野に対する災害復興法学教育のアプローチ」 

(講演要旨)

災害後の支援は、急性期の医療支援や直接的な救援救護活動等に止まらない。被災後の避難所環境の整備により被災者の健康を維持してこそはじめて災害関連死を防ぐことができる。ここでいう「健康」には、「社会的健康」(Social Wellbeing)の達成も含まれているのであり、被災者の「お金とくらし」を支える社会の仕組みを熟知して、支援情報を提供していくことこそが健康の維持になる。この生活再建の支援(お金とくらしの支援・情報伝達)は、慢性期や中長期の復興支援の課題というだけではない。お金とくらしの不安(情報が行き届かない、制度そのものが不備不足である)の存在は、急性期でも課題であり、生命や健康を直接的に脅かすものになる。すなわち、災害ケースマネジメントや災害ソーシャルワークは、応急救護・緊急支援のフェーズから必須項目として支援者が関わるべきものである。災害時においては「被災したあなたをお金とくらしの話」は、命を救う災害「医療」であり、災害「看護」であり、その分野における中心的テーマである。看護師、保健師、医師、歯科医師、社会福祉士、精神福祉士、救急救命士、消防関係者、DWAT,その他医療・コメディカルの関係者など、医療看護福祉職の専門教育課程・一般教育課程・スキルアップ研修等に「災害復興法学」を基盤とした「被災したあなたを助けるお金とくらしの話」(生活再建フェーズの法制度知識)の防災教育プログラムの常設が必須である。

 

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学会全体のプログラム

1日目(12月10日)開会(10:00〜10:05)

植田信策  避難所・避難生活学会代表理事、第8回学術集会大会長

 

セッション1(10:05〜12:30)招待講演1                   

【座長】 鵜飼卓     NPO法人HuMA顧問、兵庫県災害医療センター顧問

北川慶子  聖徳大学心理・福祉学部教授、佐賀大学名誉教授

植田信策  石巻赤十字病院副院長

 

1-1) 米国と日本の災害時ボランティア活動の違いと提言 web

The Organization and Management of Volunteers in Disasters in the U.S.

Leo Bosner Former FEMA    Angela Pettas  NGO “Place to Grow” (創設者、”Place to Grow”著者)

1-2)脆弱性の高い社会における被災者支援のあり方    ~災害時にも「人の尊厳」を守る法制度へ~

鍵屋一      跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授、

福祉防災コミュニティ協会代表理事、元板橋区危機管理担当部長

1-3)  タイムライン防災が変えるコミュニティ防災社会を目指す

松尾一郎   東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター客員教授

 

休憩(12:30〜13:30)

 

セッション2(13:30〜15:30)TKBの実践例と仕組みの提案

【座長】榛沢和彦   新潟大学医歯学総合研究科先進血管病・塞栓症治療・予防講座特任教授

水谷嘉浩    Jパックス代表取締役

 

2-1) 寒冷期の避難所問題:日本海溝・千島海溝巨大地震津波想定を踏まえて

根本昌宏  日本赤十字北海道看護大学災害教育センター教授

2-2)  安心できるトイレ環境の確保に向けて

加藤篤     日本トイレ研究所代表

2-3)  いざという時どうする?あなたの食と栄養    ~問題の構造と平時からの普及啓発への取り組み~

齋藤由里子 味の素ファンデーション被災地復興応援事業マネージャー

2-4)  TKBのK;キッチンカーによる食支援の標準化を目指して

植田信策  石巻赤十字病院副院長

2-5) 避難所TKB環境向上に向けた長野県の取組みについて

馬場浩司 長野県危機管理部危機管理課防災係長

 

討論

 

休憩(15:30〜15:40)

 

セッション3(15:40〜16:30)招待講演2

【座長】北川慶子  聖徳大学心理・福祉学部教授、佐賀大学名誉教授

水谷嘉浩  Jパックス代表取締役

 

3−1)災害関連死の事例集積、分析の必要性とその現状

在間文康 そらうみ法律事務所弁護士

3−2)「最期の声」の現場から――災害関連死とはなにか

山川徹  ノンフィクション作家、“最期の声 ドキュメント災害関連死”著者

 

セッション4(16:30〜18:00)行政職とボランティアが協働した避難所環境改善

【座長】 植田信策    石巻赤十字病院副院長

根本昌宏 赤十字北海道看護大学災害研究センター教授

 

4−1)内閣府・避難生活支援リーダー/サポーター研修

明城徹也 JVOAD事務局長

4−2)福祉避難所等に関わる人材とその育成

石井美恵子 国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻災害医療分野教授

4−3)改めて学ぶイタリアの避難所支援

水谷嘉浩 Jパックス代表取締役

4−4)熊本地震を経た益城町での避難所改善への取組事例の報告

今石佳太  兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科客員研究員、前熊本県益城町危機管理監

 

討論

 

2日目(12月11日)セッション5(9:00〜10:00)招待講演3

【座長】植田信策   石巻赤十字病院副院長

 

5−1)医療・福祉・保健分野に対する災害復興法学教育のアプローチ

岡本正     銀座パートナーズ法律事務所弁護士・博士(法学)、岩手大学客員教授

5−2)災害発生時の衣類支援の重要性

須田雅太郎   近藤紡績所、災害備蓄管理士

 

セッション6(10:00〜12:00)令和4年8月豪雨から見えてきた課題

【座長】 山村修     福井大学地域医療推進講座教授

岡本正 銀座パートナーズ法律事務所弁護士・博士(法学)、岩手大学客員教授

 

6−0)背景紹介

山村修  福井大学地域医療推進講座教授

6−1)令和4年8月豪雨 関川村における被災者支援活動

~行政・ボランティアとの連携から~(Web参加)

谷田健吾 日本赤十字社新潟県支部事務局部長兼事業推進課長

6−2)南越前町における被災者支援のあり方

酒井明子 福井大学名誉教授・日本災害看護学会理事長
6−3)あなたならどうする?コロナと水害に襲われた今庄診療所

新野保路 南越前町国民健康保険今庄診療所医師

6−4)高齢化がすすむ南越前町を襲った豪雨災害~発災翌日からの訪問活動でみえてきたこと~

角睦美  南越前町保健福祉課課長補佐

 

討論

 

総合討論と提言(12:00〜13:00)【座長】植田信策     石巻赤十字病院副院長

 

閉会(13:00)植田信策 第8回避難所避難生活学会学術集会大会長