【新聞連載】(病院新聞)「病院経営者のための 災害復興法学のすすめ(6)被災ローン減免制度が生活再建の切り札に 東日本大震災直後に弁護士たちが 新たな債務整理制度の創設を提言」
病院新聞(2025年3月 13日 第2836号)1面
[連載]病院経営者のための災害復興法学のすすめ(6)
岡本 正
銀座パートナーズ法律事務所代表弁護士
気象予報士・医療経営士・博士(法学)
東日本大震災直後に弁護士たちが 新たな債務整理制度の創設を提言 被災ローン減免制度が生活再建の切り札に
東日本大震災の直後に、深刻な被害を受けた被災地を訪れた法律家たちは衝撃的な街の被害状況とともに、絶望的ともいえる被災者の声を聴くことになりました。自宅を失い、仕事を失い、生活再建の見通しが全く立たないなかで、住宅ローンや個人事業ローン等の返済もできなくなったという声です。災害から助かった被災者を、その直後から苦しめていた最大の悩み事でした。法律上の救済措置としては破産法に基づき裁判所を利用する破産手続があります。免責手続を経て債務免除に至れば、新たな生活の一歩を踏み出すことも可能です。ところが、「破産することもできない」という声が大多数だったのです。