活動実績

【インタビュー】(内閣府防災担当 TEAM防災ジャパン)「特集『防災とボランティアのつどい in 愛媛』の開催に向けて:岡本正インタビュー」

内閣府TEAM防災ジャパン「特集『防災とボランティアのつどいin愛媛』の開催に向けて:岡本正インタビュー」(2019年1月22日)

 

内閣府政策統括官(防災担当)が運営し、防災推進協議会が協力する内閣府『TEAM防災ジャパン』の特集ページにおいて、「防災とボランティアのつどいin愛媛」で基調講演を担当する岡本正ほか登壇者らのインタビュー記事が掲載されました。

 

 

内閣府は、1月27日(日)に、愛媛県松山市のひめぎんホールにて、「防災とボランティアのつどいin愛媛」を開催します。

被災者支援などのボランティア活動に関わった人、現在防災に関わっている人、これから関わりたい人や関心・興味を持っている人が一堂に会し、これまでの歩みを振り返りながら、「これからの防災」と、「災害時の連携・協働の取組み」を考え、交流し、つながる機会となる予定です。

開催に先立ち、基調講演を担当される岡本正先生(銀座パートナーズ法律事務所・弁護士)および、当日のコーディネーターを務める木村謙児様(NPO法人えひめリソースセンター南予担当理事)、被災直後に現地での支援活動に尽力された高橋真里先生(香川大学地域強靭化研究センター)にインタビューを実施しました。

 

 

岡本 正 経歴:弁護士(2003年登録)。博士(法学)。防災士。防災介助士。2016年に銀座パートナーズ法律事務所を設立しパートナーに就任。内閣府行政刷新会議事務局上席政策調査員(2009年10月~2011年10月)、文部科学省原子力損害賠償紛争解決センター総括主任調査官(2011年12月~2017年7月)など公職を歴任。政府や日弁連における災害復興支援経験をもとに『災害復興法学』を創設。

――防災に携わるようになったきっかけについて教えてください。

東日本大震災当時は内閣府に出向中で、行政・規制改革を担当していました。弁護士であると同時に、国の政策にかかわった経験を活かそうと、被災地等で実施された無料法律相談のデータベース化と、生活再建や復興に関する法改正などに関与するようになりました。相談データは震災から1年間で4万件を超えるものとなり、弁護士らの提言で多くの法改正や新規立法が実現してきました。

被災者を支援する法律があるにも関わらず、それらが知られていない、活用されていないことで、被災された方々がより苦しんでいることに気が付きました。また、既存の法律でも不十分なものが多く見つかりました。そこで、生活再建のための知恵や、制度を良くするための政策論を学ぶ「新たな防災教育」が必要であると考え、2012年に『災害復興法学』という分野を立ち上げました。

――基調講演の演題に「知識の備え」とありますが、被災者および支援者がそれぞれ知っておくべきことは何があるでしょうか。

「防災」と聞くと、「津波から避難する」、「地震から身を守る」、あるいは「耐震化を行う」といったことがイメージされます。命そのものを守るために、これらが重要であることは疑う余地がないのですが、大きな災害が起きると、目に見える被害だけでなく、被災地での「人々の生活」も、非常に困難な状況に陥ることになります。住まいや職場を失い今後どう暮らしていけばよいのかわからない、お金がなく住宅ローンなどの支払いができない、といった悩みの声がたくさん生じるわけです。こういった「被災のリアル」をまずは皆さんに知って欲しいと思います。

この国には、被災された方々を守るための「法律」や「制度」があります。代表的なものとして、「り災証明書」、「被災者生活再建支援金」、「災害弔慰金」、「自然災害債務整理ガイドライン」など、被災者の生活再建に役立つ法制度、仕組みがあるのです。ただし、これらを知っていて自ら手続きをしなければ、支援金は支払われませんし、住宅ローンの減免等について速やかな相談もできません。そのため、まずは「支援制度の存在を知っていること」が重要です。もちろん、お金だけでは被災された方々の悲しみを癒やすことはできませんが、絶望的な状況の中で、少しでも前に進むための、希望の第一歩となるのではないかと考えています。

災害が起きた後に、被災者がニュース等から支援情報を収集することは非常に困難です。そのため、誰もが被災者になり得る日本において、皆が「防災の知恵・常識」として、これらの制度を事前に知っておく必要があると考えています。

――被災者支援における専門家の方々のボランティア活動(プロボノ)の課題についてお聞かせください。

弁護士と災害の関わりについてお話させていただきます。前述の様々な支援制度は、原則として法律が根拠となっていますので、被災者の方々へ内容を説明し、どのような制度を利用するかを検討する際に、弁護士の経験やスキルを活かすことができるのです。通常大きな災害が起きた際は、日弁連や都道府県の弁護士会が無料法律相談や情報提供活動の窓口を設置しますので、まずはそのことを事前に知っておいていただきたいと思います。

また、弁護士だけではなく、行政の方々、様々な資格職の方々、福祉・看護・医療分野の方々なども、被災者と触れ合う機会が必ずあるわけですので、いわばオールジャパンの「官民連携」のサポートによって、相談窓口等に被災者の方々をきちんと誘導することが重要だと考えています。

――本イベントに向けて、一言お願いします。(期待・抱負など)

参加者全員に、新たな「気づき」を得ていただきたいと思います。生活再建に関する知恵を持った人が増えることは、行政、民間の組織を強くし、地域の強靱化(レジリエンス)にもつながると考えています。